2006-04-29 [長年日記]

メールによる社内コミュニケーションの問題

電子メールをその特性を意識せずに使用することによって、コミュニケーションしていると思いながらも「実は一方通行」でしかなかったり、あるいは「その一方通行さえうまくできていな」かったりすることがままあるのである。

そうだそうだ。

Outlookが Message-Id:ヘッダをないがしろにしたせいで、「全文引用」という悪習がはびこってしまった。ネットワークやディスクが潤沢になってきた影響で、メールやファイルを小さく保とう、という意識が薄れてきてしまった。"KISS" := Keep It Simple, Stupid! ということも聞かれなくなってきた。

ムダな全文引用、余計な情報がそぎ落とされていない文章やファイルはみんな、コミュニケーションにおいてはノイズでしかない。S/N比がどんどん低くなってきている。いくら手元でクレンジングしても、ノイズの多さにへこたれてくる。

しかも最近は 携帯電話からのメールはショートメッセンジャー的な用途で使われてる。これらは利用される場面が大違いなのだが、PCのメールと同じインフラを使っているので、お互いに迷惑を掛け合うような状態になってきている。困った事態だ。

チャーチルのメモ

木下是雄 著「理科系の作文技術」の冒頭にも引用されている:

われわれの職務を遂行するには大量の書類を読まねばならぬ。その書類のほとんどすべてが長すぎる。時間が無駄だし、要点をみつけるのに手間がかかる。

同僚諸兄とその部下の方々に、報告書をもっと短くするようにご配意ねがいたい。

  1. 報告書は、要点をそれぞれ短い、歯切れのいいパラグラフにまとめて書け。

  2. 複雑な要因の分析にもとづく報告や、統計にもとづく報告では、要因の分析や統計は付録とせよ。

  3. 正式の報告書でなく見出しだけを並べたメモを用意し、必要に応じて口頭でおぎなったほうがいい場合が多い。

  4. 次のような言い方はやめよう:「次の諸点を心に留めておくことも重要である」、「……を実行する可能性も考慮すべきである」。この種のもってまわった言い廻しは埋草にすぎない。省くか、一語で言い切れ。

思い切って、短い、パッと意味の通じる言い方を使え。くだけすぎた言い方でもかまわない。

私のいうように書いた報告書は、一見、官庁用語をならべ立てた文書とくらべて荒っぽいかもしれない。しかし、時間はうんと節約できるし、真の要点だけを簡潔に述べる訓練は考えを明確にするにも役立つ。

職場に新人が来るたびに言っている気がするが、今年もまた言うよ。真の要点だけを簡潔に述べる訓練は考えを明確にするにも役立つんだから。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]
tidus (2006-04-29 00:17)

全文引用は、最新のメールを読めば議論の経緯が分かるので、視点を変えると便利かもと思っています。

matobaa (2006-04-29 17:47)

確かにその点で便利なのは理解していますが、そんな場面、数えるほどしかないでしょう。思考停止に陥っているだけなんじゃないでしょうか。

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